最短1日!食品衛生責任者資格の取り方完全ガイド

最短1日で取得!食品衛生責任者資格の取り方 完全ガイド

飲食店や食品工場を新しく開業する、あるいは営業許可を取り直す際に、必ず確認を求められるのが「食品衛生責任者」の設置です。開業日が決まっているのに、「講習会はいつ受けられるのか」「費用はいくらかかるのか」「自分は講習を受けなくてよい資格を持っているのか」がわからず、手続きが止まってしまうケースは少なくありません。

食品衛生責任者は、養成講習会を1日受講すれば取得できます。一方で、設置の根拠となる法令、講習の内容、受講料、申込方法は、都道府県や食品衛生協会によって異なります。インターネット上の情報にも、古い法令名や、地域が異なる金額が混在しているため注意が必要です。

この記事では、食品衛生責任者の設置根拠と食品衛生管理者との違い、資格が免除される人の範囲、養成講習会の内容(東京都食品衛生協会の例)、取得後に必要な手続きまでを、公的機関や食品衛生協会の公開情報をもとに整理します。

1. 食品衛生責任者とは?役割と食品衛生管理者との違い

食品衛生責任者は、営業施設における衛生管理の実務を担う人です。名前がよく似た「食品衛生管理者」とは、根拠となる法令も、設置が必要な施設も異なります。まずは両者の違いを整理しておきましょう。

1-1. 設置の根拠と役割

食品衛生責任者の設置は、食品衛生法第51条に基づく営業者の衛生管理基準(管理運営基準)として、食品衛生法施行規則の別表第17に定められています。原則として食品を取り扱うすべての施設に設置が求められ、公衆衛生への影響が少ない営業は対象から除かれます。

食品衛生責任者は、営業者と協力して提供する食品の安全確保に努める立場にあり、施設の衛生管理、営業者への改善の意見具申、法令遵守の指導などを担います。HACCPに沿った衛生管理が全事業者に義務づけられている現在、衛生管理計画を現場で運用する中心人物としての役割がいっそう重要になっています。

1-2. 食品衛生管理者との違い

食品衛生管理者は、食品衛生法第48条に基づき、製造・加工の過程で特に衛生上の考慮が必要な食品や添加物を扱う施設に、専任で置くことが義務づけられている資格です。両者の違いは次のとおりです。

項目食品衛生責任者食品衛生管理者
根拠食品衛生法施行規則 別表第17食品衛生法第48条・同法施行令第13条
設置が必要な施設原則、食品を取り扱うすべての施設(公衆衛生への影響が少ない営業を除く)全粉乳・加糖粉乳・調製粉乳、食肉製品、魚肉ハム・魚肉ソーセージ、放射線照射食品、特定の食用油脂・マーガリン・ショートニング、規格が定められた添加物の製造・加工施設
主な資格要件調理師・栄養士などの資格者、または養成講習会の修了者医師・薬剤師・獣医師、指定学科の大学卒業者、登録養成施設の修了者、または高卒相当以上で対象施設での3年以上の衛生管理経験と登録講習会の修了
位置づけ営業者と協力して施設の衛生管理を行う実務者施設ごとに専任の者を置く必要がある(専任が必須)

食肉製品や魚肉ソーセージなどを製造する食品工場は、食品衛生責任者に加えて食品衛生管理者の設置も必要になります。自社の製品が対象かどうかは、所轄の保健所で確認しましょう。食品衛生管理者の詳しい要件と取得方法は、以下の記事で解説しています。

2. 講習を受けなくても食品衛生責任者になれる人

広告

すでに一定の資格を持っている人は、養成講習会を受講しなくても食品衛生責任者になれます。該当するかどうかを先に確認すれば、受講料と時間を節約できます。

2-1. 資格者として認められる免許・資格

茨城県が公開している案内によると、次のいずれかに該当する人は、養成講習会を受けずに食品衛生責任者になることができます。

  • 調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士、船舶料理士
  • 食品衛生監視員、または食品衛生管理者の資格要件を満たす者
  • 衛生管理責任者、作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者
  • 知事等が適正と認める講習会(養成講習会)の修了者

2-2. 資格者の手続きの考え方

資格者の場合は、営業許可の申請や届出の際に、免許証の写しなどで資格を証明します。必要書類は保健所によって異なるため、事前に所轄の保健所へ確認してください。なお、茨城県の案内では、養成講習会の修了証は他の都道府県でも有効とされています。

3. 養成講習会の内容・費用・申込方法(東京都の例)

養成講習会は、各都道府県の食品衛生協会が実施しています。日程や受講料、申込方法は協会ごとに異なるため、ここでは東京都食品衛生協会が公開している内容を例に、全体像を説明します。実際の受講にあたっては、必ず自分が受講する協会の最新の案内を確認してください。

最新!食品衛生責任者の取得方法

3-1. 集合講習の内容とスケジュール

東京都の集合講習は、午前9時45分から午後4時30分までの6時間で、昼休みは45分です。講習内容は食品衛生学が2時間30分、食品衛生法が3時間、公衆衛生学が30分で、テストも含まれます。講習会の修了時に、その場で修了証(赤い手帳)が交付されるため、1日で取得できます。

科目時間
食品衛生学2時間30分
食品衛生法3時間
公衆衛生学30分

3-2. 受講料・受講資格・申込方法

東京都食品衛生協会の集合講習の受講料は合計12,000円(受講料10,000円と教材費等2,000円)で、支払いは講習当日の現金のみです。経験や学歴は問われませんが、17歳以上が対象で、高校生は受講できません。公的な本人確認書類(運転免許証など)の持参が必須です。申込は、ホームページから申込書をダウンロードし、返信用封筒とともに郵送する方法です。

3-3. eラーニング型の養成講習会

東京都食品衛生協会では、インターネットで動画を視聴するeラーニング型の養成講習会も実施しています。受講料は教材費込みで12,000円(税込)、標準学習時間は合計約6時間で、ログインID登録日から30日間受講できます。申込はスマートフォンまたはタブレットから行い、受講基準を満たした方には、10営業日以内に修了証がレターパックで自宅へ郵送されます。東京都内に在住または勤務している17歳以上で、運転免許証かマイナンバーカードを持っていることが条件です。

項目集合講習eラーニング型
受講料12,000円(支払いは当日現金のみ)12,000円(税込・事前にクレジットまたはコンビニ払い)
学習時間1日(午前9:45〜午後4:30、テスト含む)標準約6時間(登録日から30日間)
修了証の受け取り講習会終了時にその場で交付修了後10営業日以内にレターパックで郵送
主な条件17歳以上、公的な本人確認書類を持参17歳以上、都内在住または勤務、スマートフォン等で申込

他の都道府県では、受講料、日程、受講条件(居住地・勤務地の制限など)が異なります。「最短1日」で取得するには、開業予定の営業許可申請の日程から逆算し、早めに受講する協会の日程を確認することが大切です。

4. 取得後に必要な手続きと実務講習会

資格を取得したら終わりではありません。営業許可・届出の手続きと、取得後の学び直しについても押さえておきましょう。

4-1. 責任者を変更したときの届出

食品衛生責任者を交代する場合は、保健所への変更届が必要です。東京都江東区の案内では、変更があった日から10日以内に、「営業許可申請書・営業届(変更)」、営業許可書の原本(許可施設のみ)、食品衛生責任者手帳などの資格証明書を提出することとされています。手続きの期限や書類は自治体によって異なるため、所轄の保健所に確認してください。

4-2. 実務講習会で新しい知見を学び続ける

食品衛生責任者は、食品衛生に関する新たな知見の習得に努めることとされており、各都道府県の食品衛生協会などが「実務講習会」を実施しています。愛知県の案内によると、受講は努力義務で、講習は約2時間、食品衛生法や食中毒予防などの新しい知見を学ぶ内容です。受講の案内は営業施設に送付されます。

5. 食品工場で責任者が果たす役割と、衛生管理を強化する方法

広告

食品工場では、食品衛生責任者が中心となって、衛生管理計画(HACCP)の運用、従業員への衛生教育、記録の管理を進めます。資格を取るだけでなく、現場で運用できる仕組みにすることが重要です。

5-1. 責任者が現場で担う主な業務

  • 施設・設備の衛生状態の点検と、清掃・洗浄の管理
  • 温度管理や手洗いなど、衛生管理計画の実施状況の確認と記録
  • 従業員への衛生教育と、ルール変更時の周知
  • 衛生上の問題があった場合の、営業者への改善の意見具申

5-2. 資格取得後に読みたい関連ガイド

衛生管理の全体像、HACCP計画の作り方、衛生管理マニュアルの整備については、以下の記事で解説しています。

保健所の検査で指摘されやすいポイントは、以下の記事にまとめています。

6. よくある質問

資格取得前によく寄せられる疑問を、確認できる情報をもとに整理します。

6-1. 他の都道府県で取得した資格は使えますか?

茨城県の案内では、養成講習会の修了証は他の都道府県でも有効とされているため、大切に保管するよう案内されています。住所地の講習会が満席の場合でも、受講条件を満たす別の地域の協会で受講する選択肢があります。ただし、居住地や勤務地による受講条件は協会ごとに異なるため、事前に確認してください。

6-2. 修了テストはありますか?

東京都の集合講習は、講習の6時間にテストが含まれています。茨城県の案内でもカリキュラムに確認試験が含まれています。出題内容や合格の基準は協会ごとに異なるため、申込時の案内を確認しましょう。講義を最後まで受講し、テキストの内容を理解しておくことが基本です。

6-3. 営業許可業種はいくつありますか?

令和3年(2021年)6月1日の食品衛生法の改正で、営業許可業種は従来の34業種から32業種に見直され、あわせて営業届出制度が創設されました。許可が必要な営業、届出で足りる営業、どちらにも当たらない営業によって手続きが異なるため、開業前に所轄の保健所へ確認しましょう。

7. まとめ|資格取得をきっかけに衛生管理を仕組み化しよう

食品衛生責任者は、食品衛生法施行規則の別表第17に基づいて設置が求められる、衛生管理の実務担当者です。調理師や栄養士などの資格者は講習が不要で、それ以外の人は養成講習会(東京都の例では集合講習12,000円・1日6時間、eラーニング型は12,000円・標準約6時間)を修了すれば取得できます。食肉製品などを製造する工場では、別途、食品衛生管理者の設置も必要です。

資格を取得したあとは、衛生管理計画の運用、記録、教育を継続できる仕組みをつくることが重要です。工場の衛生管理体制の構築や、HACCPの運用に不安がある場合は、専門家へ相談する方法もあります。

参考にした公的情報(いずれも本記事の執筆時点で確認した内容です。最新の情報は各機関の案内をご確認ください)

本記事に登場する専門用語の意味を手早く確認したい方は、HACCP・衛生管理・設備・生産管理などの用語をまとめた食品工場の用語集もあわせてご活用ください。

食品工場の衛生管理体制づくりや設備面のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

今井 正久 プロフィール写真
サイト運営者・代表者紹介
今井 正久
FMネットワーク・エンタープライズ株式会社 代表取締役CEO
食品工場設備衛生管理・HACCPCIP洗浄異物混入対策生産ライン設計省エネ設備DX化推進
食品機械エンジニアとして20年以上のキャリアを持つ食品工場専門コンサルタント。国内外300社以上の食品工場で設備設計・生産ライン構築・衛生管理体制の整備を支援してきた実績を持つ。HACCP義務化対応・FSSC22000認証取得・異物混入対策・CIP洗浄システム導入・DX化推進など、食品安全と生産性向上の両立を得意とする。